日銀“黒田効果”で500兆円奪還へ ロイター、大胆策に「バズーカ砲が炸裂」

日銀“黒田効果”で500兆円奪還へ ロイター、大胆策に「バズーカ砲が炸裂」
ZAKZAK2013.04.05



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新生日銀を印象づけた黒田東彦総裁。市場は好感し、一気に息を吹き返した

 新生日銀が本当にやってきた。お金の総額を「2年で2倍」に増やす量的緩和制度を導入し、70兆~100兆円規模の“実弾”投入を決定。事前の予想を大きく上回る緩和は市場で「バズーカ砲」「金融革命」などビッグサプライズとして受け止められ、5日には日経平均株価が1万3200円台、為替は1ドル=97円台、長期金利は過去最低の0・3%台に突入する場面もあった。黒田東彦(はるひこ)総裁と岩田規久男副総裁の「黒・岩」コンビの突破力が鮮明になったことで、「1ドル=105円」の円安をテコにしたデフレ脱却と日本経済大復活への道筋が見えてきた。

 4月4日は日本経済の歴史的な転換点といっても過言ではない。午後1時40分、「量的・質的緩和の導入」が公表されると、マーケットは一瞬の戸惑いの後、熱狂的な反応を示した。

 一時280円超下落していた日経平均株価が、終値で272円高と一気に550円以上も急騰、為替も急速な円安、長期国債の利回りも過去最低(価格は上昇)を記録した。5日の市場も株高、円安、債券高の流れは止まらなかった。

 黒田総裁は決定会合後の記者会見で、今回の緩和を「これまでとまったく次元の異なる」「常識を超えて巨額」と強調。「戦力の逐次投入はせず、現時点で必要と考えられる措置はすべて講じた」と述べた。

 追加緩和策では、日銀が供給するお金の量を示すマネタリーベースを1年間で60兆~70兆円ずつ増やし、残高を昨年末の138兆円から14年末には270兆円に倍増させる。日銀の国債保有額は昨年末の89兆円から2年後の14年末に190兆円まで引き上げ、不動産投資信託(REIT)や上場投資信託(ETF)などのリスク資産の購入も倍増する。

 日銀の旧体制をほぼ全否定した政策について、5日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)は「日本が金融革命」とするトップ記事を掲載、「世界で最も慎重だった中央銀行が、日本の力強い成長と物価上昇率を取り戻すため、他の中銀の先を行こうとしている」と報じた。

 記事では、日銀の資産拡大ペースが米連邦準備制度理事会(FRB)より速いと紹介、「非常に大胆で驚きを与えた」とする市場関係者の言葉を伝えた。別の社説でも「黒田新総裁が、20年間失敗を重ねてきた日本の金融政策に、最初の政策決定会合で大変革をもたらした」と評価した。

 ロイター通信は「黒田日銀の『バズーカ砲』炸裂」と配信している。

 一方、これまで円高とウォン安で実力以上に輸出を伸ばしてきた韓国では「韓国経済への悪影響は避けられない」(東亜日報)と警戒の声が出ている。中国メディアも貿易赤字拡大の可能性などを批判的に報じた。

 関係者を驚かせたのは新任の正副総裁3人だけでなく、白川方明(まさあき)前総裁時代の金融政策を支持してきた6人の審議委員も、ほぼ全員一致で緩和策に賛成したことだった。

 「白(白川)から黒(黒田)へ、オセロのように審議委員の意見がひっくり返った。黒田総裁の説得力のなせるわざだろう」と嘉悦大の高橋洋一教授は語る。

 岩田副総裁の影響力も明らかになった。長年にわたり日銀を批判してきた岩田氏が“敵地”に乗り込むことで、「孤立するのではないか」(金融関係者)との懸念もあった。だが、打ち出された緩和策で、マネタリーベースの量を目標にすることや、具体的な緩和の額については、これまで岩田氏が主張してきた内容とほぼ一致している。

 マネックス証券の村上尚己チーフ・エコノミストは、「これまでの日銀は“ガラパゴス経済学”だったのが、世界標準に追いついた」と述べ、2年で2%の物価上昇率達成の可能性も「これまでの5%から50%に上がった」と評価する。「1ドル=105円、日経平均1万4000円の条件が整った」と語る村上氏は、著書の「『円安大転換』後の日本経済」の中で、安定的な円安によって、「景気回復と50万人以上の失業者に職が生み出される。財政赤字は10年以内に解消され、給料は平均して年率3・5%伸びる」との展望を示している。

 また、武者リサーチの武者陵司代表は「長期金利が0・4%に低下することで不動産価格も大きく回復し、今後数年間で株と不動産の資産効果(値上がり益)は500兆円以上に達する」と指摘していたが、すでに長期金利は0・3%台まで低下した。

 アベノミクスの「第1の矢」である金融政策がついに全貌を見せ、「期待」から「実行」の段階に移った。日銀旧体制の影響が強い識者やメディアからは「2%の物価目標は達成できない」「政府の赤字を肩代わりする財政ファイナンスだ」などの批判もあるが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は「新金融政策は、まさに革命的。2%の物価安定目標があるので財政ファイナンスを心配する必要はない」と評価。2年後の2%達成は可能とみる。

 それよりも気がかりなのは、来年4月に予定されている消費税増税だ。橋本龍太郎政権下の1997年に3%から5%に引き上げた際も景気は悪化し、デフレが進行した。「2%の物価目標を達成させるには増税を延期すべきだ」(外資系証券エコノミスト)との指摘もある。

 新日銀は安倍政権の要求に満点の解答を出した。失われた20年を取り戻せるか、次に決断するのは政府の番だ。



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