【「お金」は知っている】 黒田日銀で株価はどこまで上がる? 市場に思わぬ波乱要因も

黒田日銀で株価はどこまで上がる? 市場に思わぬ波乱要因も
ZAKZAK2013.05.24
連載:「お金」は知っている

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130524/ecn1305240711000-n1.htm

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日銀マネーが動かすアベノミクス相場

 円安・株高の「アベノミクス相場」の原動力は、日銀による円資金の供給(マネタリーベース=MB)の増加である。MBは現金通貨の流通残高と金融機関が日銀など中央銀行に持つ当座預金残高の合計額である。平たく言えば中央銀行による「printing money」(おカネの発行)規模である。

 グラフは、毎月のMBと円の対ドル相場の前年同期比の増減率を日経平均株価と比較している。円相場の増減率がプラスになっているときは円安の割合を、マイナスのときは円高の割合を示している。日銀は白川方明(まさあき)前総裁時代、MBの供給増に一貫して慎重で、少し増やしても、翌月には減らすという具合だったが、安倍晋三内閣が昨年12月に発足すると前年比で10数%増やし始め、「異次元の金融緩和」を唱える黒田東彦(はるひこ)現総裁が就任した3月下旬以降は増量速度を大幅に上げた。

 円相場はこのMBの増加率にほぼ連動して下落軌道に乗っている。円安の度合はMB伸び率に寄り添うように推移している。株価はこのMBと円相場の変動に並行して上昇を続けている。MB、円相場と株価のうち、当局の意図によって動かせるのはMBのみであることから、日銀がお札を刷れば刷るほど株価が上がるかもしれないと思わせるが、どうだろうか。

 黒田日銀はMBを今年末200兆円、来年末に270兆円に増やす方針であることから、5月以降の毎月単純平均で約5兆7400億円相当のMBを増やす計算になる。このペースが続くとすれば、MBの前年比増加率は7月以降は40~50%台の高率で推移していくことになる。円相場がグラフにあるようなトレンドでMB増加のテンポに追随するとすれば、年末には1ドル=120円台以下まで下がるとの予想も成り立つ。それに引き寄せられるようにして、株価は上昇を続け、年末は1万8000円台になるとの単純な見方も可能だろう。

 だが、MBと円の対ドル相場には米連邦準備制度理事会(FRB)という相手の政策も影響する。FRBは昨年秋から量的緩和第3弾(QE3)を続けており、今年に入って、毎月平均800億ドル余りのドル資金を追加発行している。日米のお札の増量規模でみると、日銀は1ドルに対して72円弱のおカネを発行する程度にとどまる。それでも、市場での円安予測が強いのは、米景気回復に伴って、FRBがQE3を打ち切るのではないかという観測が強まっているからだ。

 株価の方も米国要因が大きいが、米株式市場は、ユーロ危機など外部要因によって大きく揺れ、その波が日本に伝播する。

 以上、まとめてみると、アベノミクス相場はこれまでのところ順調だが、マーケットには思わぬ波乱要因がつきまとう。景気拡大のためには、デフレ圧力を高める消費税増税実施時期を延期するなど、もう一段の大胆な政治決断が欠かせない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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