【「日本」の解き方】 株価調整もたらす市場心理、米量的緩和を検証すると…   高橋洋一

株価調整もたらす市場心理、米量的緩和を検証すると…
ZAKZAK2013.06.13
連載:「日本」の解き方

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130613/dms1306130709000-n1.htm

 2008年のリーマン・ショック後、米FRB(連邦準備制度理事会)は同年11月から10年6月までQE1(量的緩和第1弾)、10年11月から11年6月までQE2(同第2弾)、そして12年9月から現在までQE3(同第3弾)を実行してきた。そのため、実体経済は紆余(うよ)曲折をしながらも、大恐慌に陥らずに回復傾向になっている。

 米国の株式市場もその時々の思惑で上下しながらも上昇傾向になっているが、08年4月から6月にかけて15%、11年7月から9月にかけて20%程度の株価下落が起こっている。理由を後付けすれば、QE1とQE2の終了に伴う先行き不安であろう。ただし、11年10月以降はQE3がなくても自律反転している。これから考えると、株価の下落も上昇もセンチメント(市場心理)が大きいのだろう。

 株価の上昇がワンサイド(一方的)で起こると、経済指標などには注目せずに一種の高揚感が出てくると同時に、このまま上昇し続けるはずがないという疑心暗鬼が生まれてくる。そうなると、一時的な下落、いわゆる調整局面になる。それがリーマン・ショック後の米国株式市場でも見られたのだ。

 それでは、どのくらい上昇すると調整局面が見られるのだろうか。これはセンチメントに関わる話なので、なかなかわからない。

 ちなみに、2000年代の日米英の株価について半年間の上昇率を調べてみよう。それによれば、40%以上の上昇も下落もほとんどないことがわかる。最近の日本の株価は半年間で80%近い上昇だった。これはちょっとないくらいに大きな数字だ。そこで調整が行われているのだろう。それでも、まだ40%台の高い数字になっている。半年前に比べて40%も値上がりしているのだ。

 株価の変動が大きいのは、経済の動きを先取りしたい投資家が多いからだろう。株価は1年後の経済成長を一部織り込んだ動きをしている。もっとも、一部といっても、1年後の経済成長で説明できる部分は株価の変動の5割程度である。

 金融政策では、今の金融緩和の効果が2年後の経済成長になる。もちろん、すべての効果が2年後に表れるのではなく、一部は顕在化しつつある。1~3月期のGDP速報、4月の消費動向調査、4月の鉱工業生産指数などだ。この先、だんだんといい数字が増えてくるだろうが、それを先取りした株式投資家は、自ら期待過剰になって自ら失望して、その結果として株式は乱高下するかもしれない。

 ただ、こうした株式市場の乱高下を尻目に、金融緩和の効果が徐々に浸透してくると実体経済はよくなっていくだろう。今の「骨太の方針」が想定している名目成長率3%は先進国でも最低ランクだ。金融緩和の効果が出てくれば4~5%程度になるだろう。この数字は今までから見れば高いが、先進国では平均的なものだ。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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  • 高橋洋一を財務大臣に。

    Excerpt: 日本の財政が極度に悪化しているが、それを解消する秘策があるらしい。ぜひとも、日本の財務大臣になって、日本を立て直してほしい。がんばれ高橋洋一。私は信じる。... Weblog: 東京下流人日記 racked: 2013-08-10 01:09