【「日本」の解き方】 最低賃金14円引き上げの真相 雇用改善との好循環にも期待

最低賃金14円引き上げの真相 雇用改善との好循環にも期待
ZAKZAK2013.08.13
連載:「日本」の解き方

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130813/dms1308130722004-n1.htm

 最低賃金の引き上げ額の目安が全国平均で14円と3年ぶりの2ケタ台となり、最適賃金の全国平均は763円になった。中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が7日に決定し、田村憲久厚労相に答申した。

 最低賃金制は、経済学者にとって興味深い対象だ。もともと伝統的な経済学では、最低賃金制はそれより低くても労働しようとする雇用を減らしてしまうので、経済のためにならないといわれていた。

 しかし、この考え方は労働市場を完全競争市場とみている点で致命的な誤りがある。最近では、最低賃金があった方が、労働者のインセンティブが高くなるので弊害が少ないという考え方もある。いずれにしても、これまでの実証研究の結果ではどちらが正しいのかはっきりしていない。これがミクロ的な経済学の現状である。

 こうした点からみると、日本を含めて先進国に最低賃金制があるのは決して経済学的に不合理なことでない。例えば、米国は厚生労働基準法と各州法、英国は最低賃金法、ドイツは労働者送出法・最低労働条件法、フランスは労働法典によって最低賃金が定められている。

 もっとも、マクロ的にみれば十分な有効需要がないと、全体としては失業が発生し、雇用が減少する。というわけで、最低賃金制度の如何(いかん)を問わずマクロ的な雇用拡大策として金融政策が出てくる。

 その上で、マクロの金融政策とミクロ的な負の所得税(具体的な仕組みとしては給付付き税額控除。ベーシック・インカムという人もいる)によって最低賃金制の代替をしようという動きがある。

 負の所得税を持ち出さなくても、最低賃金の水準が、それ以下でも働きたいが働けないという人がほとんどいないくらいに低ければ、いかなる立場からも問題ない。日本は、国際的にみても最低賃金水準が低く、経済学の立場からはむしろ称賛されてきた。

 本コラムでは繰り返して指摘しているが、金融政策によって、2年後のインフレ率のみならず、失業率、賃金上昇率、名目GDP(国内総生産)成長率まで、ほぼ決まってくる。

 今のアベノミクスの金融政策なら、2年後のインフレ率が2%程度になるように運営されているので、同時に賃金上昇率も3%程度になる可能性が高い。今回の最低賃金の引き上げも、この金融政策の効果のラインで考えると、不思議なものではない。しかも、伝統的な経済学の立場の人が心配するような「高すぎる最低賃金」にはならないだろう。

 14円の引き上げというが、率に直すと1・9%である。この程度であれば、労働者の生産性が向上して雇用者としても歓迎であろう。しかも、マクロでの経済政策がうまくいけば、雇用者としても従来より高い賃金を払っても損にならない。むしろ、マクロ経済で雇用改善になるので、この程度の賃上げをしないと人手の確保すらできなくなる恐れもある。経済好循環のきっかけになるだろう。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)








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