【「日本」の解き方】 「中期財政計画」の数字は消費増税が前提 4%成長を無視する卑劣

「中期財政計画」の数字は消費増税が前提 4%成長を無視する卑劣
ZAKZAK2013.08.14
連載:「日本」の解き方


 政府は8日、「中期財政計画」を閣議了解した。閣議「決定」ではなく「了解」であるのは、キモとなる消費増税について決定していないからだという。

 しかし、「中期財政計画」を読むと奇妙なことに気がつく。その中に「(別紙)基礎的財政収支の見通し」という項目がある。これは「中期財政計画」と別の紙という意味ではない。「中期財政計画」の中で、「国・地方の基礎的財政収支赤字対GDP比半減目標の達成を目指す」とされているところで参照に指定されているので、「中期財政計画」の一部である。

 (別紙)には、国・地方の基礎的財政収支として、「平成25年度(2013年度)▲34・0兆円→平成27年度(2015年度)▲17・1兆円程度」と書かれている。この数字は、閣議の直前に行われた経済財政諮問会議で配布された「中長期の経済財政に関する試算」(新試算)において経済再生ケースで出てくる数字とまったく同じである。この「中長期の経済財政に関する試算」では、主要な前提として、「消費税率(国・地方)を14年4月に3%、15年10月に2%引き上げることを想定」と明記されている。

 つまり、閣議了解された「中期財政計画」は、表向きは消費税増税を前提としていないといいながら、こっそりと消費税増税を前提とした数字になっているわけだ。これは、政権のガバナンスとして問題である。財務省官僚の中には、「中期財政計画」は消費増税が前提となっていると公言している者もいるようだ。

 さらに、この「中期財政計画」の数字がひどいことになっている。

 昨年8月31日に発表された前野田政権の時の経済財政の中長期試算(旧試算)と比較してみよう。旧試算の成長戦略シナリオでは、2020年度と23年度の名目GDP(国内総生産)はそれぞれ625兆円、693・7兆円だ。

 新試算の経済再生ケースでは、それぞれ620・7兆円、689・3兆円と、両者はほぼ同じ経済成長である。両者ともに、消費税増税が前提となっているが、アベノミクスという違いがある。異次元の金融緩和といいながら、その成果である経済成長に差がないのはおかしい。それなのに、10年間で実質成長2%、名目成長3%とほぼ同じなのだ。新試算では名目成長4%以上になってしかるべきだ。

 さらに、20年度と23年度の基礎的財政収支対名目GDP比率について、旧試算で▲1・4%から▲0・9%になるが、新試算では▲2・0%から▲1・5%と財政が悪化している。

 こうした不可思議な数字で、増税を正当化しようとしている。新試算で名目成長を4%以上に設定しないのは、そうなると増税の根拠がなくなるからだ。ちなみに、小泉政権では増税なしで、プライマリー(基礎的財政)収支はほぼ均衡し、財政再建している。これは増税派には不都合な事実だ。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


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