【「日本」の解き方】 消費税有識者会議の狙いとは? 懸念は“例のない”社会保障専門家

消費税有識者会議の狙いとは? 懸念は“例のない”社会保障専門家
ZAKZAK2013.08.16
連載:「日本」の解き方


 消費税増税について、現政権は昨年12月の衆院選、今回の参院選でも、直接国民に信を問うていないが、前の民主党野田政権が提出した消費税増税法は、1年前の8月10日に成立している。その法律の中に書かれている条項を根拠として、安倍晋三首相は秋までに最終判断をすることになっている。

 安倍首相は8日、消費税率引き上げの判断にあたり、有識者から広く意見聴取を行うよう関係閣僚に指示した。消費税率引き上げに関する有識者会議は、甘利明経済再生担当相ら関係閣僚の他、民間のエコノミストや社会保障の専門家ら約50人を集め、8月下旬から開催する予定という。

 安倍首相の指示を受けて、甘利担当相は、「判断材料の1つとして(議論を)とりまとめたい」と述べ、有識者会議の狙いとして「有識者、各業界を代表する方々が忌憚(きたん)なく議論し、国債の信認、財政の持続性など日本が抱えている課題についてベストな道を探る」こととした。

 ところで、どうして有識者会議を作るのだろうか。政府には、浜田宏一・エール大教授らの内閣参与が既にいる。彼らは経済政策の専門家として首相が判断するときにアドバイスをするのが仕事だ。彼らはアベノミクスを推進する立場から、消費税増税に消極的な立場である。よもや、政府がそうしたアドバイスをひっくり返すために、有識者会議を新たに設けたとは信じがたい。消費税増税問題の判断は、その影響が広範に及ぶために念には念を入れていると思う。

 もっとも、社会保障の専門家といっても、これまで政府が重用してきた人は、先進国では例がなく、理論的な根拠すらない消費税の社会保障目的税化を推進するなど、ちょっと怪しい専門家だ。社会保障は所得再分配を行うので、原資は保険料と所得税というのが原則。

 また、資産・所得の捕捉に不公平があると所得再分配では致命的になるため、国民番号制や歳入庁が不可欠であるが、政府が呼ぼうとする専門家は歳入庁には何の関心も示していないので、まったく不安がないといえばウソになる。

 政府がこのような有識者会議を作る際には、既に結論が見えていることも少なくない。本当にガチンコであれば、賛成、反対について世論を代表するような比率で有識者を選ぶだろう。さらに、例えば動画で議論やそのプロセスを公開して行うだろう。ある団体の見解を一方的に読み上げるのではなく、中立的なコメンテーターを交えて議論を行うだろう。逆にいえば、どのような有識者を呼ぶか、どのような方法で議論するかで、有識者会議の結論が見えてくる。

 本来であれば、消費税増税は総選挙のテーマとして国民の信を問わなければいけないテーマである。その代わりに有識者会議を設けて議論するというのだから、世論を代表する形で禍根を残さないようにしっかりと透明性の高い議論が必要だ。 

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)








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