【日刊闇株新聞】 「いつかはゆかし」とは? (2013年10月03日)

「いつかはゆかし」とは?
日刊闇株新聞2013年10月03日


「いつかはゆかし」とは?

 本日は、690年から続く伊勢神宮の式年遷宮、始まった米国政府窓口の一部閉鎖、消費税の引き上げ決定を受けて314円安の日経平均など書くことが多かったのですが、午後に飛びこんできたこの話題にしました。

 証券取引等監視委員会は10月2日、投資助言会社のアブラハム・プライベートバンク(以下「アブラハム」)に対し、週内にも行政処分するよう金融庁に勧告する方針を固めたようです。老後資金を毎月積み立てる「いつかはゆかし」なる投資助言サービスが、実質的な無登録の販売活動にあたるというものです。

 最初にお知らせしておきますが、本誌は昨年このアブラハムのグループ会社「YUCASEE MEDIA」に依頼されて何回か記事を寄稿していました。「いつかはゆかし」のサービスが始まるかなり前に止めているのですが、やや軽率だったと反省しています。ただ幸いにも本誌は竹中平蔵氏や岩田規久男氏や高橋洋一氏のような有名人ではないので、自社サイトで広告塔に使われることはありませんでした。

 「いつかはゆかし」とは、月々5万円の積み立てで1億円が貯まるとのキャッチフレーズで大々的な宣伝活動を行っています。アブラハムはあくまでも投資助言会社で、その助言に従って顧客が海外の運用会社(ヘッジファンドのようなものでしょう)へ直接投資する形態のようです。

 アブラハムは運用額(正確には投資助言資産)に対して年間0.945%の助言報酬を受け取るのですが、直近の運用額が746億円と報道されているため単純計算しても年間7億円近い「収入」になるはずです。

 ところが問題はここからです。

 月々5万円の積み立てで1億円になるためには、年率10%以上の複利運用を長期にわたって続ける必要があります。当然のように「そんな高利回りを安定的に出し続ける」運用会社はありません。2012年のヘッジファンド全体の平均収益率は6%しかありません。

 もし仮にあったとしても、そのような運用会社(著名なヘッジファンドなど)は簡単に外部から資金を受け入れません。したがってアブラハムの投資助言とは、あらかじめ海外に設定した(あるいは示し合わせた)特定の運用会社に投資を誘導することであり、実際に英国マン島の「ハンサード」なる運用会社の名前が出ています。

 「ハンサード」は幽霊会社ではなさそうですが、少なくとも実績のある著名運用会社ではありません。

 証券取引等監視委員会が問題としたのは、あくまで助言会社であるアブラハムが「ハンサード」などの運用会社からいろいろな名目で報酬を得ており、これが実質的な販売手数料にあたるところです。つまりアブラハムは中立な立場の助言ではなく(金融庁に登録していない)投資勧誘を行っていたことになります。

 しかし金融商品取引法では、この辺りが限界であり、このままだと一定期間の業務停止と軽微な課徴金だけの処分で終わってしまいます。

 最大のポイントは、アブラハムの助言に従って(実際にはアブラハムが誘導する特定の運用会社に)投資された746億円が「無事なのか?」です。

 証券取引等監視委員会が「いつかはゆかし」のサービス開始から、わずか半年で行政処分の勧告に踏みきっていることや、海外の運用会社からアブラハムの周辺に資金が還流している気配があるところから、非常に「いやな予感」がします。

 しかし証券取引等監視委員会は、海外の運用会社の運用資産を検査する権限がありません。あくまでも現地の当局に依頼するしかないのです。ところが「ハンサード」は英国マン島にあるのですが、実はマン島は英国ではなく英国王室の直轄地です。

 つまりエリザベス女王に証券取引等監視員会の佐渡委員長が依頼しなければならないのです。まあ不可能ではないかもしれませんが、あまり現実的ではないでしょうね。

 そのようなところにある運用会社に投資するよう顧客に助言していたとすれば、少なくとも「まともな助言業者」ではなく「怪しげな投資販売業者」に近いと言わざるを得ません。

 今後の展開が非常に気になります。ただこれはいつもの証券取引等監視委員会の「リーク記事」でもなさそうで、まだ波乱があるかもしれません。

 明日は、1日遅れましたが「消費税引き上げ決定」と「米国政府窓口の一部閉鎖」の影響を受けた金融市場についてです。


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