【日刊闇株新聞】 したたかな米国政府「ビジネス」 (2014年06月19日)

したたかな米国政府「ビジネス」
日刊闇株新聞2014年06月19日


 米国の2014年会計年度(2013年10月~2014年9月)財政赤字が5140億ドル(52兆円)になりそうです。2013年会計年度は6800億ドルの赤字でしたが、それ以前の4会計年度は1兆~1兆5000億ドルの大赤字だったので、大変に改善していることになります。

 もちろん財政支出削減と税収回復の影響が大きいのですが、それ以外にも米国政府「ビジネス」が大変好調であることも見逃せません。主に3つあります。

 その1つめは、2013年にFRBから777億ドル(8兆円)が国庫納付されています。FRBの資産買入れで主に長期国債とMBSの保有債券残高が増えたため、金利収入が904億ドルもあったからです。

 2009年~2013年の5年間で、FRBは累計3680億ドル(現在の為替で38兆円)の国庫納付を行っており、その前の5年間の累計1350億ドルの3倍弱となりました。

 2014年もFRBの保有債券残高は増えており、予想通りに2014年10月に買入れがゼロになっても保有債券残高や金利収入は「長期にわたって」維持され、2014年には(そのあとも)毎年1000億ドル(10兆円)程度の国庫納付が見込まれます。現在の財政赤字からみれば「大変に大きな」貢献となります。

 そもそも直近のFRBは4兆ドルの保有債券(国債が2.4兆ドル、MBSが1.6兆ドル)があり、それを1.3兆ドルの紙幣発行(コストゼロ)と2.7兆ドルのReserve Balance(日銀の当座預金に相当、コスト0.25%)でファイナンスしています。保有債券の平均金利が3%近いことになります。

 例えば米国政府(財務省)が3%の長期国債を発行しても、FRBが傘下の銀行から0.25%で調達した資金で買い入れれば(正確にはFRBが傘下の銀行から3%の国債を買い入れ、その資金を支払わずに0.25%の金利で預かっている)、FRBの経費を考えなければその差益が国庫に納入されるため、結果的に米国政府は0.25%で長期国債を発行していることになります。大幅な財政コストの軽減となります。

 日銀の「異次元」量的緩和も基本的には同じ構造ですが、日本国債の利回り水準が低いため「異次元」のわりには2013年度の金利収入が8000億円ほどしかありませんでした。

 米国政府「ビジネス」の2つめは、2008年に米国政府が実質国有化したFNMAとFHLMCは、優先株の形態で投入した公的資金の1875億ドル(現在の為替で19兆円)に対し、現在までに2100億ドル以上を回収しています。

 しかしこれは政府が購入した優先株の特別配当として受け取っているため、1875億ドルの優先株は「そっくり」米国政府が保有したままなので、これからもFNMAとFHLMCが稼ぎだす利益の「全額」が米国政府に吸い上げられることになります。

 米国住宅市場の回復のためにFRBがMBSを大量に購入して「巨額の利鞘」を稼ぎ、さらにその結果で住宅市場が回復したためFNMAとFHLMCが稼ぐ利益の全額を、米国政府は今後も受け取り続けることになります。

 最後は保有する両社の優先株を普通株に転換して売り出し、さらなる巨額利益を得ることになりそうです。両社は法的処理されていないため、「何の権利も配当もない普通株」が店頭市場で取引されています。カール・アイカーンや多数のヘッジファンドが取得しており、これからの米国政府に「分け前」を要求する法廷闘争が始まりそうです。

 米国政府「ビジネス」の3つめは、巨額罰金ビジネスです。

 先日も仏パリバに、米国の金融制裁対象国とドル決済を行ったとして100億ドル(1兆円)もの巨額罰金をかけると発表し、慌てたパリバはCOOの首を差し出し、オランド大統領は「いくらなんでも」と不満を表明しました。もちろん米国政府は何の遠慮もなく「ふんだくり」ます。

 米国政府は昨年11月にもMBSの不適正販売で130億ドル(1兆3000億円)もの巨額罰金をJPモルガン・チェースにかけており、今後はシティクループも100億ドル程度の罰金となりそうです。

 これは前述の国営化したFNMAとFHLMCに、リスクを説明せずにMBSを販売したからとされていますが、実はそのMBSこそFNMAとFHLMCが組成した住宅ローン(たっぷりと不良ローンを含んだもの)で組成したものでした。

 つまり「卵をたくさん買ってくれたら卵焼きを買ってやる」といわれて、あとから「お前のところから買った卵焼きが腐っていた」と巨額慰謝料を請求されたようなものです。もちろん卵の方が腐っていたのです。

 この3つこそ典型的な米国政府「ビジネス」で、そのおかげで米国の財政赤字が急激に縮小しているのです。

 日本政府も見習って、とりあえずはノバルティスに1兆円ほど罰金をかけてみたらどうでしょう?こんな「おいしい」日本市場から出ていくはずがないため、支払うと思うのですがね。


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