【日刊闇株新聞】  やっと始まった地方銀行再編  その2  ( 2014年11月14日)

【日刊闇株新聞】
やっと始まった地方銀行再編  その2
2014年11月14日

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やっと始まった地方銀行再編  その2

 11月11日付け「同題記事」の続編ですが、本日は米国の銀行再編の歴史、その成功例のネーションズ・バンク(現バンク・オブ・アメリカ)、そしてその成功例が「たった1人の男」に見事にボロボロにされてしまった物語です。

 米国では歴史的に銀行の州をこえた支店開設や、州によっては支店開設そのものが厳しく制限されており、その結果1980年台半ばには全米で15,000もの銀行がありました。これらの制限は徐々に緩和され1995年には銀行持ち株会社が本拠州以外の銀行を買収することが全面的に解禁され、さらに翌1996年には買収した銀行を支店化することが認められ、ようやく銀行数が10,000を下回りました。

 米国の銀行は、最近まで驚くほど規制された業界だったのです。

 そこからは株式市場が好調だったため、1996年のチェース銀行とケミカル銀行、ウェルズ・ファーゴ銀行とファースト・インターステート銀行など、銀行持ち株会社同士の大型合併が続出しました。

 ノースカロライナ州のシャーロットを拠点とするネーションズ・バンク(当時はNCBC)は1980年代以降、州内の銀行次いで州外の銀行を多数買収して巨大化し、1996年には全米3位の巨大銀行となっていました。ちなみに当時の銀行持ち株会社の総資産ランキングでは、1位がチェース、2位がシティコープ、4位がバンカメ、5位がJPモルガンでした。

 そしてネーションズ・バンクは1998年に4位のバンカメも吸収合併して行名をバンク・オブ・アメリカとし、現在でも総資産ランキングでJPモルガン・チェースに次いで全米2位です。

 つまりバンク・オブ・アメリカ(旧ネーションズ・バンク)とは、米国の銀行再編における最大の成功例といえます。そして銀行業務だけでは当時も今も何の問題もありません。

 そんなバンク・オブ・アメリカのケネス・ルイスCEOに、金融危機が最悪となっていた2008年9月に「夢のような話」が持ち込まれます。

 ウォール街の大手投資銀行(日本でいう総合証券会社のようなものです)であるメリルリンチの「身売り話」でした。バンク・オブ・アメリカは銀行業務以外の業務をほとんど行っておらず、投資銀行業務など全くの素人でした。

 ゴールドマン・サックス出身でNYSE・ユーロネクストCEOも務めたジョン・セイン・メリルリンチCEOがシャーロットを訪れ、規模だけは大きい田舎銀行(失礼!)のケネス・ルイスCEOににこやかに話しかけ、何とメリルリンチの時価総額を70%も上回る500億ドルで「売りつけて」しまいました。

 当時のメリルリンチは管理畑出身のスタンレー・オニールCEOが突然狂ったように住宅ローン関連ビジネスにのめり込み瀕死の状態だったのですが、金融危機がピークを迎えていた2008年9月の米国政府はFNMA、FHLMC、AIGの救済で「手一杯」で、メリルリンチと同じく瀕死のリーマン・ブラザーズなどを気にしている余裕など全くありませんでした。

 この時点で救済する体力が残っていた金融機関はJPモルガン、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカだけでしたが、JPモルガンは同年3月にベアー・スターンズを救済合併しており、ウェルズ・ファーゴは投資銀行業務に一切興味を示さずバンク・オブ・ワコビアを買収してしまい、バンク・オブ・アメリカだけが唯一可能性が残る「カモ」だったことになります。

 唯一の「カモ」をジョン・セインに奪われたリーマン・ブラザーズのディック・ファルドCEOは完全に梯子を外され、英国バークレイズに最後の望みを託しますが結果は最悪となりました。しかしリーマン・ブラザーズを破綻後に買い叩いたバークレイズに対しては、2012年に米国政府がLIBOR不正操作で真っ先に摘発して巨額罰金で報復しています。

 さて生き延びたメリルリンチは、2008年12月に発表した四半期決算は220億ドルもの「途方もない赤字」となり、さすがのケネス・ルイスCEOも「騙された」と気がつきます。しかし時すでに遅く、ジョン・セインは合併日(2009年1月1日)数日前に自分を含むメリルリンチ幹部に巨額ボーナスを支払い、さっさと辞めてしまいました。

 結局バンク・オブ・アメリカは公的資金(TARP)から200億ドルを出資してもらうハメになり、最近もメリルリンチのMBS不正販売で166億ドルもの巨額罰金を支払うなど散々のままです。

 ジョン・セインは現在もノンバンク大手・CITのCEOとして活躍しています。日本の地方銀行再編については、もう少し続けます。


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