【日刊闇株新聞】 本年のキーワードは「中心と周辺」 (2015年01月06日)

本年のキーワードは「中心と周辺」
日刊闇株新聞2015年01月06日

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本年のキーワードは「中心と周辺」

 あけましておめでとうございます。本年最初の記事なのでいろいろと考えましたが、この話題にしました。

 表題の「中心と周辺」とは、本誌も大変に信頼している証券エコノミスト・水野和夫氏の著作「資本主義の終焉と歴史の危機」からの引用で、「中心」が「周辺」から富を吸い上げて資本主義を発展させていくシステムのことです。

「資本主義の終焉と歴史の危機」(集英社新書)水野和夫著(集英社 799円税込)


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バブルのツケをバブルで支払う。
この危険な循環こそが決定的な破局をもたらす!
資本主義の最終局面=バブル多発時代にむけた処方箋。


資本主義の最終局面にいち早く立つ日本。
世界史上、長期にわたるゼロ金利が示すものは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」だ。

死の瀬戸際の資本主義は、グローバル化を進め国民を置き去りにし、国家さえも使用人としてバブルを多発させ、生き延びようとしている。

終わりの近づく資本主義にそれでもしがみつき、かりそめの「成長」を目指すことは、
「国民なき国家」を作り上げ、破局への道を整えているにすぎない。

グローバル化の本質を鋭利に分析し、世界経済危機を最も早くから警告していたエコノミストが、
日本再生のための道と「世界総ゼロ金利」後の新たなシステムを提言する!

【主な内容】
●「世界総ゼロ金利」時代のあとに何が起きるのか?
・成長を果たした国からゼロ金利になり、「日本化」する。この危機の「本質」とは?
・「バブル清算型」の資本主義でアメリカはどうなる?
・中国はアメリカ没落後の覇権国になれるのか?
・中国バブルが弾るたあとの、世界経済は?
・日本の財政赤字、国債問題にどう対処するべきか?
・EU崩壊は起きるのか? ドイツはギリシャを切り捨てるのか?
・アフリカのグローバル化のあと、資本は何を狙うのか?

●「世界総ゼロ金利」=資本主義の終焉で
なぜ日本にチャンスが生まれるのか?

【目次】
はじめに――資本主義が死ぬとき
第一章 資本主義の延命策でかえって苦しむアメリカ
第二章 新興国の近代化がもたらすパラドックス
第三章 日本の未来をつくる脱成長モデル
第四章 西欧の終焉
第五章 資本主義はいかにして終わるのか


資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)
集英社
2014-03-14
水野 和夫

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・発売日:2014年03月
・著者/編集:水野和夫
・出版社:集英社
・サイズ:新書
・ページ数:218p
・ISBNコード:9784087207323

【内容情報】
資本主義の最終局面にいち早く立つ日本。世界史上、極めて稀な長期にわたるゼロ金利が示すものは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」だ。他の先進国でも日本化は進み、近代を支えてきた資本主義というシステムが音を立てて崩れようとしている。一六世紀以来、世界を規定してきた資本主義というシステムがついに終焉に向かい、混沌をきわめていく「歴史の危機」。世界経済だけでなく、国民国家をも解体させる大転換期に我々は立っている。五〇〇年ぶりのこの大転換期に日本がなすべきことは?異常な利子率の低下という「負の条件」をプラスに転換し、新たなシステムを構築するための画期的な書!

【目次】
第1章 資本主義の延命策でかえって苦しむアメリカ
経済成長という信仰
利子率の低下は資本主義の死の兆候 ほか
第2章 新興国の近代化がもたらすパラドックス
先進国の利潤率低下が新興国に何をもたらしたのか
先進国の過剰マネーと新興国の過剰設備 ほか
第3章 日本の未来をつくる脱成長モデル
先の見えない転換期
資本主義の矛盾をもっとも体現する日本 ほか
第4章 西欧の終焉
欧州危機が告げる本当の危機とは?
英米「資本」帝国と独仏「領土」帝国 ほか
第5章 資本主義はいかにして終わるのか
資本主義の終焉
近代の定員一五%ルール ほか

【著者情報】
水野和夫(ミズノカズオ)
1953年、愛知県生まれ。日本大学国際関係学部教授。早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミストを経て、内閣府大臣官房審議官(経済財政分析担当)、内閣官房内閣審議官(国家戦略室)を歴任

 一般的に「中心」とは西欧諸国のことで、「周辺」とは古くは植民地、最近までは中国などの新興国のことです。

 そして最近は中国などの新興国が自らも「中心」と考えて行動するようになった結果、「中心」が富を吸い上げる「周辺」が世界中から消えてしまい、世界経済全体の成長にブレーキがかかってきました。

 1990年代から「中心」である西欧諸国や日本が豊富な労働力と拡大する消費を求めて中国に進出したのですが、やがて中国自身が生産設備を拡大して「中心」のシェアを奪い、果ては世界の需要をはるかにこえる過剰生産設備をつくってしまったことなどが、その典型です。

 そうなると今度は「中心」が、自国の中に「周辺」を作り、富を吸い上げるシステムを作り出そうとします。

 日本政府が推進する「非正規労働者」「消費増税」「法人減税」の組み合わせは、見事に「周辺」を作り出して富を吸い上げるシステムとなります。

 そう考えるとサブプライムローンとは、「中心」の大手金融機関が富を吸い上げる(収益を上げる)ために作り上げた「周辺」だったことになります。儲かる市場(借り手)がなくなってきたので、貸出基準を大幅に緩和して市場(借り手)を作り出して収益源にしようとしたものでした。

 さらにユーロ圏とは、域内の「中心」であるドイツ・フランスなどが安い労働力を供給する「周辺」を域内に作り、さらに共通通貨・ユーロを導入することにより「中心」の投資リスクを軽減してしまう仕組みと考えられます。

 大変に重要なことは、この時代に新たに「周辺」を作り上げて収益を吸い上げても、それは一時的なもので必ず短期間のうちに行き詰まってしまうことです。

 サブプライムの結果はいうまでもなく、ユーロの仕組みも当初の目論見通りにならず「周辺」各国に深刻な財政危機を引きおこしてしまい、域内の「中心」にとって大きな負担となってしまいました。

 日本における「非正規労働者」「消費増税」「法人減税」の組み合わせは、間違いなく深刻な消費不振を招き、日本経済を大不況としてしまうはずです。

 本年の世界経済や株式市場を考えるときに、世界各国や各国の中に作られた「周辺」がどのような弊害を各国に及ぼすかと、どこが新たな「周辺」に組み込まれてしまうのかを見極めることが重要となります。

 ところで日本は本当に「中心」なのでしょうか? 少なくとも「周辺」ではないものの、本当の「中心」が日本を新たに「周辺」にしてしまおうと考えているはずです。

 繰り返しですが、「周辺」とは「中心」から富を吸い上げられる存在です。

 そう考えると日本(日銀)が「もっと異次元になった」量的緩和で円安を加速し、日本にある国民資産をどんどん米国などの海外に流出させているのは、(今に始まったことではありませんが)日本が改めて米国の「周辺」となるための政策と考えられます。

 国民資産が米国などの海外に流出しても、別に米国などに奪われるわけではないので「何が悪いのだ?」と考えられますが、歴史的には日本から米国などの海外への資金流出が加速したあとはロクなことになっていません。

 1997~8年にはアジア危機、ロシア危機、ヘッジファンド危機となり、2007~8年はもちろんサブプライム問題から世界金融危機となってしまいました。

 ほんの一例を取り上げただけですが、本年はこの「中心と周辺」を頭に入れて、いろいろと考えていきたいと思います。

 明日はユーロ圏における「周辺」ギリシャへの対処法についてです。