全国民必読 ついに動き出した「株価2万円」ニッポン経済に何かが起きる

全国民必読 ついに動き出した「株価2万円」ニッポン経済に何かが起きる 分かっている人はもう分かっている
現代ビジネス2015年04月27日(月) 週刊現代

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43078


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4月10日に2万円を突破、トヨタなど好調企業も目立つ。それなのに「実感」は薄い……
〔PHOTO〕gettyimages


大台の株価2万円を突破したものの、その後は膠着状態が続く。期待と不安が渦巻く株式相場同様に、日本経済にも楽観と悲観が入り混じる。まさに混迷の時代。未来を読み解くキーを探った。

■日銀本店の会議室で

4月13日、東京・日本橋の日本銀行本店に幹部たちがズラリと顔をそろえた。

普段は全国に散らばる支店長らがこの日は本店に一堂に会して、「春の支店長会議」が開催されていた。

あまり知られていないが、日銀の各支店行員らは地元企業を回り、景気や経済の動向をつぶさに調査している。

「会えない社長はいない」(支店長OB)というほどに、地元財界との太いパイプを持つ日銀マンが集める情報は、ほかのどんな調査機関が集めるそれよりも確度の高い一級品といわれる。

そんな貴重な情報を集約するために、日銀は3ヵ月に一度のペースで支店長会議を開催しているのである。

午前9時から始まったこの日の会議でも、通例通り、全国の各支店長による報告が行われていた。ただ、いつもの会議と少し様子が違って、どこか皆が笑顔を隠せないような空気が漂っていた。

なぜか。

目下、日本経済をめぐっては「株価2万円」が話題になっているが、盛り上がっているのはマーケットだけ。多くの国民にしてみれば景気回復の実感もなく、株高ブームから置いてけぼりを食っているとの不満の声が大きくなっている。

こうした不満は、政策当局者へも向けられる。それだけに、日銀マンたちも思うように上向かない景気動向に歯ぎしりする思いを抱えていた。

「そんな折も折、この日の会議ではついに、全国から景気回復を裏付けるデータが次々と出てきたのです」(全国紙経済部記者)

■データは語る

実際に上がってきた報告を見てみよう。

たとえば、東海地方から上がってきた報告は、「輸出は高めの水準で推移」、「設備投資は一段と増加」、「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響も概ね収束しつつある」というもの。

業績好調なトヨタ自動車の恩恵が地域全体に広がり始めており、景気が「着実に回復を続けている」と断言している。

電気部品メーカーが多く立地する近畿地方では、スマホブームに牽引される形で、「輸出は一段と増加」、「設備投資も増加」。そのうえで、景気判断を約1年半ぶりに上方修正までしているから相当に前向きだ。

さらに、北陸地方でも、「企業の業況感は北陸新幹線開業効果等から高水準で推移」として、近畿地方同様に強気に景気判断を上方修正。北海道地方でも、「春物婦人服の販売が札幌圏を中心に好調」、「高額商品の販売は、腕時計を中心に好調に推移している」と、訪日外国人観光客が多く訪れる地方ならではの消費ブームが巻き起こっているとレポートしている。

日銀幹部が言う。

「正直に言って、日銀内部にも黒田東彦総裁が進める金融緩和路線を懐疑的に見ている人は少なくなかった。しかし、今回の地域経済報告によって、景気回復の波が地方経済や中小企業に波及してきたことが分かったので、少し安堵しています。まだ始まったばかりですが、日本経済の好循環が始まったといえる」

株価2万円という大きな節目を超えた日本経済。「実感なき株高」との声が多く聞かれる一方で、足元では巨大な変動が巻き起こり始めている。

ゆっくりと少しずつだが、着実に、景気回復の足音が列島各所、様々な産業に響き渡ってきたのである。

「私は長年さまざまな経済データをウォッチしていますが、ここへきて日本経済の好循環が進展していることを裏付けるものが増えてきたのを実感しています」

そう語るのは、三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミストの宅森昭吉氏である。

たとえば景気回復の兆しは、次のようなデータから見て取れるという。

・'15年2月分の有効求人倍率が1・15倍。これはバブル経済崩壊直後の'92年3月分の1・19倍以来、約23年ぶりの水準。

・設備投資の先行指標といわれる機械受注は、'15年1-3月期まで3四半期連続して増加見込み。

・広告費の代理変数とも言える大相撲の懸賞本数が、今年1月の初場所で1625本と過去最高を記録。春場所の懸賞本数も1374本で地方場所最高記録を更新—。

宅森氏が続ける。

「ほかにも、CDの初動売り上げが50万枚を突破することは景況感が良くなる兆候。今年はすでに3枚も初動50万枚突破が出ています。また、不景気指標となる自殺者数や金融機関店舗強盗件数などは着実に減ってきており、景気の底堅さを感じさせます」

■「稼ぎ方」が変わった

実は日本経済への期待感は、世界的にも広がり出している。

奇しくも日銀の支店長会議が開催された翌日の4月14日。IMF(国際通貨基金)が「世界経済見通し」なるものを発表し、'15年の日本経済の成長率予測を上方修正したのである。

多くの日本人はまだ実感できていないが、分かっている人は、分かっているのだ。日本経済がついに大きく動き出そうとしている、と。

では一体、なにが変わろうとしているのか。

「一番のポイントは、企業経営者たちのマインドの変化です。

かつて2000年代に、日本では『実感なき景気回復』という言葉がブームになりました。当時は企業が利益を上げていたものの、それを貯めこみ、取引先や従業員に恩恵が波及していかなかったためです。

しかし、いまは違う。企業経営者が利益を株主から取引先、従業員にまで分配する意識が高まっている。また、積極的に『攻め』の経営にカネを投じる動きも盛んです。その効果が徐々にですが、日本全体に波及し始めてきたのです」(SMBC日興証券シニアエコノミストの渡辺浩志氏)

しかも、それは大企業に限った話ではないと専門家たちは口を揃える。

来たるべき景気回復の波に乗ろうと、「中小企業から地方企業までが新しい動きを見せ始めている。先端技術を利用した医療、介護分野の事業を始めるベンチャー企業が育ち始めているし、農業分野でも食品加工から流通、レストラン経営にまで手を広げて競争力を高めるところが出てきた」(慶応大学経済学部教授の塩澤修平氏)。

そうした動きが新しい雇用や利益を生み、少しずつだが景気に染み出してきているというわけだ。

それだけではない。

「日本経済が新しい『稼ぎ方』を手に入れ、それがいま花開こうとしています。これまではモノを作って海外に売るという貿易モデルが日本の稼ぎ頭でしたが、もうそんな時代は終わっている」

富士通総研上席主任研究員の米山秀隆氏が言う。

「新しい稼ぎ方というのは、一つには『海外への投資案件で稼ぐ』というモデルです。日本企業は円高時代から生き残りのためにグローバル化を進めてきました。それも自動車や家電といった製造業だけではない。サントリー、ソフトバンクなどが海外企業を買収したように、幅広い業種が海外投資を積極化している。

そんな投資案件が利益を出し始め、その利益が円安効果でさらにかさ上げされる好循環に入ってきている」

■ここが正念場

日本総研副理事長の湯元健治氏も言う。

「日本企業による海外でのM&A(企業買収)は、今年の1-3月期も約4兆5000億円。昨年を上回るペースで積極的にM&Aを仕掛けている。これによって設備投資が増える可能性も高まってきた。設備投資が増え……

日本総研副理事長の湯元健治氏も言う。

「日本企業による海外でのM&A(企業 買収)は、今年の1-3月期も約4兆5000億円。昨年を上回るペースで積極的にM&Aを仕掛けている。これによって設備投資が増える可能性も高 まってきた。設備投資が増えれば、日本経済全体の成長が目に見える形になってくる。そうなれば外国人投資家の日本株買いはさらに増えて、日経平均は2万 3000円くらいまで値上がりする可能性がある」

守るより攻める、貯めるより使う—。

企業経営者たちがそうして果敢に動き出したのは、「インフレ好循環が回り始めることを意識しているからでしょう」とセゾン投信代表の中野晴啓氏は言う。

「い よいよデフレからインフレへ日本経済がシフトし、その好循環が回ろうとしている。ユニクロが値上げ宣言したのが象徴的で、企業はインフレ時代到来による好 景気に食らいつこうと我先にと動き出している。最近、経営が不調なマクドナルドやイオンまでもが、積極的に設備投資に動き始めているのもそのためでしょ う」

第一生命経済研究所首席エコノミストの嶌峰義清氏も言う。

「いま日本で起きているのは、1円を削りに行く消耗戦から、1円でも高くする商品開発の時代への転換です。まさにデフレ脱却の前段といえる現象であり、これが新しく日本経済の歯車を回し出そうとしている。

もちろん、これまでの勝者が勝者のままでいられる保証はありません。ただし、企業の生み出す付加価値にまっとうな価格が支払われる健全な経済が戻ってくるということ。日本経済全体を大きく躍進させる原動力になる」

いま日本株が「2万円」という大台を突破したのは、海外投資家たちがこうした日本の未来を見抜いて、「日本は買いだ」と大きく動いたからにほかならない。

ただし、好循環はまだ始まったばかりである。これが5年後、10年後を見通した時に、どこまでの持続力を持つかについては経済のプロの間でも見方が分かれる。

「仮 に好景気になっても、現役世代は所得増として受け取れるが、引退している高齢者はそれが期待できない。構造的かつ持続的な景気回復にするには、日本の消費 の大部分を占める高齢者がいかに安心して消費を増やせる環境を整えるかがキーになる」(日本リサーチ総合研究所主任研究員の藤原裕之氏)

次期経済同友会代表幹事で三菱ケミカルHD会長の小林喜光氏も、本誌の取材に次のように語った。

「経営者のマインドが変わってきたのは確かです。日本経済もよくなってきている。大切なことは、この成長をいかにサステイナブル(持続的)なものにできるか。日本はその正念場に立っているのではないでしょうか」

日本経済は最悪の状況からは脱した。しかし、新しい課題もまた突きつけられているというのが実情だ。では、その壁は乗り越えられるのか。

「週刊現代」2015年5月2日号より

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