【日刊闇株新聞】 ギリシャ危機と地下経済 (2015年06月16日)

【日刊闇株新聞】
ギリシャ危機と地下経済
2015年06月16日

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ギリシャ危機と地下経済

 ギリシャについては6月10日付け「ギリシャはデフォルトするのか?」で書いた通り、今月末に15億8000万ユーロ(2200億円)の返済期日がくるIMFが「えげつなく回収」するところを、EUとECB(7月に35億ユーロ、8月に32億ユーロの保有ギリシャ国債の償還がある)がどのようになだめられるにかかっています。

 ギリシャ現政権は、もうとっくに当事者能力を失っています。

 ギリシャに対しては債務危機が露呈した2010年以降だけでも2000億ユーロ(27.6兆円)をこえる金融支援が行われているはずですが、現時点で国庫は空っぽのようです。

 だいたい人口が1100万人で、2014年のGDPが1790億ユーロ(24.7兆円、ユーロ圏全体の約1.3%)しかないギリシャから、数年でどうやって年間GDPよりも大きい2000億ユーロが消えてしまったのでしょう?

 ギリシャに限らず欧州経済は(とくに南欧と東欧経済は)、正式の経済統計に表れない「地下経済」の規模が大きいとされています。

 欧州における「地下経済」のGDP(つまり正式の経済規模)の占める割合は、ギリシャが26%とユーロ圏最高で、イタリアが23%、スペインが21%と続き、少ない方はスイスが7%、オランダが9%、英国が10%、フランスが13%などと推測されています。

 なぜかドイツの数字がありませんが10%程度と思われます。ただオランダなど「地下経済」の比率が低い国には売春が(一部を含み)合法化されている国が多く、「地下経済」ではなく堂々とGDPに反映されています。

 ちなみに米国が8%、日本が9%、お隣の韓国が27%(!)もあります。

 ところで「地下経済」といえども表と同じような経済活動を行います。つまりメシも食えば酒も飲み、車に乗ってガソリンを消費すれば、新たなビジネスのために設備投資も行います。また「社員」に給料を支払い、収益を受け取った「幹部」は大盤振る舞いの消費をするかもしれません。

 税金は払いませんが「地下経済」と表の経済の境界は大変にあやふやなのです。

 イタリアやスペインの若年失業率が50%もあるといわれますが、これで暴動が起きないのはかなりの若年層が「地下経済」に雇用されて生活しているからです。

 ここでイタリアとスペインは国内の経済規模がある程度大きいため「地下経済」の消費活動や投資活動の大半が国内で行われて、国内経済に貢献しているはずです。

 一方でギリシャでは国内経済の規模が小さいため「地下経済」の消費、投資、雇用などがギリシャ国外で行われギリシャ経済に貢献していないような気がします。

 またギリシャでは単純に「地下経済」の消費、投資、雇用がギリシャ国内で行われていない(つまり資金が表の経済に還流していない)だけではなく、本来は表の経済に算入されるべき経済活動が、かなり「地下経済」に吸い込まれて表に還流してこない(つまり消えたままの)ケースや、本来はギリシャ国民に支払われるはずの補助金・年金・失業保険までが「地下経済」に吸い込まれているケースまであるような気がします。

 かくして2000億ユーロが消えてしまったのです。

 ギリシャの問題は「地下経済」の比率が大きいことではなく、表の経済から「地下経済」に資金が吸い込まれていく一方だということでしょう。

 当然にこの状態は国際債権団も理解しているはずで、「地下経済」に吸い込まれてしまうなら「金融支援などやめてしまおう」との判断になる可能性もあります。

 話は変わりますが、この世界中の「地下経済」の資金決済は、ほとんどドルで行われているはずです。米国は自国通貨・ドルが不正に使われていることを理由に、地下経済の不正資金を根こそぎ回収してしまおうと考えています。

 米国の司法当局がFIFAの不正に介入できたのも、この理由です。これも基軸通貨国の特権なのです。

 2018年と2022年のワールドカップ開催地が変更される可能性は確かにありますが、日本開催の可能性はゼロです。米国がその特権を「タダで」日本にくれるはずがありません。また変更の可能性があるとすれば2018年のロシアの方で、カタールはそのままでしょう。

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