【日刊闇株新聞】 土壇場で「何とか」合意したギリシャ支援の条件

【日刊闇株新聞】
土壇場で「何とか」合意したギリシャ支援の条件
2015年07月14日

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土壇場で「何とか」合意したギリシャ支援の条件

 本日(7月13日)午前9時(現地時間、以下同じ、日本時間は同日午後4時)、徹夜で行われていたユーロ圏19か国の首脳会議は、ギリシャが財政改革を確実に実行することを条件に金融支援交渉を始めることで合意しました。

 金融支援を合意したわけではなく、金融支援を始める「条件」を合意しただけです。

 その「条件」とは、ギリシャが年金や付加価値税(VAT)などの改革を7月15日までに議会で法制化することが「絶対条件」で、それにユーロ圏財務相会議で議論された「経済指標改ざんを防ぐため統計機関の独立性確保」「銀行の不良債権処理」「送配電事業の民営化」「500億ユーロのギリシャ国家資産を国外機関へ譲渡」「改革実行に当たってEU、ECB、IMFが派遣する専門家チームとの協議の義務付け」などが加えられている可能性があります。

 要するにチプラス現政権に限らず、2001年のユーロ加盟以来(加盟条件のクリアそのものがウソだった)のギリシャの言動は全く信用できないということです。

 仮にこれらの「条件」をギリシャが7月15日までにクリアできたなら、3年間で最大860億ユーロ(11.7兆円)の金融支援に向けて「交渉を始める」とユーロ圏首脳会議で「合意」したことになります。

 ただこの金融支援にはギリシャ側が強く求めていた債務再編(つまり債務減免)は含まれておらず、辛うじて債務延期が認められる可能性が残されているだけです。

 またギリシャの当面の資金繰りについては、7月20日までに70億ユーロ、8月半ばまでにさらに50億ユーロが必要となることに「留意する」とされているだけです。このなかに7月14日に償還期限となる116億円の円建て外債が含まれているかどうかは不明です。

 またこの当面の資金繰りとはあくまでもギリシャ政府の公的債務返済が中心であり、ギリシャの銀行の資金繰りの生命線である緊急流動性支援(ELA)枠拡大は見送られたままで、銀行休業や1日60ユーロの引き出し制限は少なくとも7月15日までは続けられることになります。
 
 また仮にギリシャが「条件」をクリアできなかったら、ドイツなどが主張する「5年間の期限付きユーロ離脱」に追い込まれる可能性があります。これはブラフではありません。

 そもそも昨日(7月12日)開催されたユーロ圏財務相会議では、ドイツ、フィンランド、オランダ、ルクセンブルク、オーストリアなどからギリシャの改革案を不十分とする反対意見が出て最終案がまとまらず、したがってユーロ圏首脳会議も同日夕方まで開催できず、一時は「完全に決裂」と考えられていました。

 土壇場になってチプラス首相が、首脳会議で「条件」をほぼ丸呑みしたようで、辛うじて金融支援の可能性が残されたというわけです。

 しかし7月5日に国民投票で緊縮財政案が否決されたばかりのギリシャで、「条件」をほぼ丸呑みした改革案が簡単に議会で法制化できるとも思えず、ギリシャ国内がかなり紛糾する可能性もあります。

 つまりまだまだ予断を許しません。

 ところでドイツなどが主張する「5年間の期限付きユーロ離脱」とは、戦前の金本位制でたびたび見られた金本位制停止(金輸出禁止)と同じようなもので、一時的に自国通貨の下落を容認して経済の回復を図り、同条件での金本位制復帰(金解禁)を目指すものです。

 現行ルールではユーロ離脱に関して明確な規定がないため、この辺りが現行ルールの限界です。しかしギリシャが一時的でもユーロから離脱(正確には停止)しても、同条件でユーロに復帰できる可能性はほとんどないため、離脱(停止)したままとなります。

 つまりユーロ離脱に関する正式な手続き策定までの時間稼ぎで、ギリシャが離脱(停止)したままなら自動的に追放第1号となります。

 チプラス首相は土壇場までユーロ離脱(追放)を突き付けられないとタカをくくっていたはずですが(法制化されていないためこれは正しい)、実際に現行法でもユーロ離脱(追放)に追い込まれる「期限付き離脱」を突きつけられて観念したはずです。

 ドイツなどの本音は、ギリシャが心を入れ替えて財政改革を行うのであれば「あと1回だけ」支援するものの、そうでなければ正式に(時間をかけても)ユーロから追放してしまうというものだったはずです。その方がユーロに対する信認は保たれるからです。

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