【日刊闇株新聞】  東芝の「不適切会計」について書き足りなかったこと   (2015年07月23日)

【日刊闇株新聞】
東芝の「不適切会計」について書き足りなかったこと
2015年07月23日

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東芝の「不適切会計」について書き足りなかったこと

 昨日(7月22日)付け「東芝の第三者委員会・調査報告書をどう読む?」だけでは書き足りなかったので、頂いているコメントも反映させてもう1回だけ続けます。

 まず「株主資本に匹敵するのれん・無形固定資産に誰も触れないのは、国や金融機関や何やら大きな力が働いているのか?」とのコメントからです。

 のれんの代表は2006年に英国原子燃料会社(国営)から77%を41.6億ドルで買収したウエスティングハウスの原子力部門ですが、2008年に10%をカザフスタン国営企業に売却し、2013年1月には逆に米国企業から20%を買い増して、最終的に87%を約6000億円で取得しています。資産が2000億円で、のれんが4000億円といわれています。

 ところが2011年3月の東日本大震災に伴う世界的な原子力発電の低迷で、本来はのれんの4000億円だけでなく6000億円全額の減損が必要となっていると思われます。2013年の20%の買い増しは2006年の買収時に付与したオプションを行使されたようです。

 さらに東芝が継続的に収益を上げることを前提に、繰り延べ税金資産も5000億円ほど計上しています。

 つまり今回の第三者委員会の調査報告や、その後で出てくるはずの証券取引等監視委員会が、これらのれんや無形資産などの「資産性」を厳密にチェックしていないのか?とのコメントですが、答えは「まったく」していません。

 まず第三者委員会は「不適切な利益のかさ上げ」の調査を委任されただけで、東芝の資産全体を精査するように誰からも頼まれていなかったからです。意識的に避けたわけでもなく、要するに最初の「タレこみ」に入っていなかっただけです。

 それを受けて出てくるはずの証券取引等監視員会は、独自に過去の決算を調査する権限がありますが、そこは諸般の事情を(特に1兆9000億円も貸し込んでいる銀行の立場を)忖度してか、コトをこれ以上荒立てず課徴金処分で済ませてしまうようです。

 ところが2013年5月には、同じように第三者委員会が調査している最中に証券取引等監視委員会が強制捜査に乗り込み、一気に刑事事件化させたインデックスのケースがありました。インデックスは翌月に民事再生法適用申請に追い込まれたのですが、何と同年9月には(驚異的に早い!)その中核事業がセガサミーに格安で(140億円)で譲渡されてしまい、抜け殻になったインデックスは消滅してしまいました。まあ、良くも悪くもケース・バイ・ケースのようです。

 次が「ライブドアと比較して、東芝はこの間に1兆円も資本市場から調達しているのに問題にはならないのか?」とのコメントです。

 2006年1月に事件化したライブドアは53億円の粉飾決算でした。そのうち37億円はライブドア株を連結対象ではない投資子会社に割り当て、その利益でライブドアの決算を黒字化したものでした。まあ「犯罪か?」と言われれば犯罪ですが、それでライブドアは即刻上場廃止となり堀江社長(当時)ら幹部数人が逮捕され、堀江社長は実刑となりました。

 実はこのライブドア事件より以前の2004年に、全く同じ手法でベルシステム24の株式を使い187億円も決算を粉飾していたのが日興コーディアルでした。日興コーディアルはライブドアとは比べ物にならない専門知識を駆使し、社長(当時)が主導した「かなり悪質な会社ぐるみの粉飾決算」だったのですが、なぜか全く事件化しませんでした。

 東京証券取引所は早々に「会社ぐるみではなく悪質性はない」との奇怪なコメントとともに上場維持を決めてしまい、証券取引等監視委員会はその間に日興コーディアルが500億円の社債を発行していたので1%に相当する5億円の課徴金を課しただけでした。2010年11月17日付け「ライブドアよりはるかに重大なのに課徴金で終わった日興コーディアル」に書いてあります。

 さて東芝ですが、「不適切な利益かさ上げ」が行われていた期間に1兆円をこえる社債を発行しているため、規定では2.25%(225億円)の課徴金が課されるはずです。しかし「粉飾決算」ではなく「不適切会計」としてしまったため、何か別の規定を適用してはるかに軽微な課徴金で終わるような気もします。

 要するに経済事件とは、事件化するのかどうかも含めて、悪質性とは全く違ったレベルで落としどころが決められるもののようです。

 最後に最も重要なポイントですが、いろいろな周囲の思惑はあるにしろ「トップが主導した組織ぐるみの利益かさ上げだった」と断定してしまったことは、東芝にとってあとあと海外投資家からの損害賠償請求だけでなく海外事業の推進を大変不利にしてしまったことは間違いありません。

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