【日刊闇株新聞】  中国人民銀行が人民元レート「基準値」を引き下げ    2015年08月12日

日刊闇株新聞
中国人民銀行が人民元レート「基準値」を引き下げ
2015年08月12日

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中国人民銀行が人民元レート「基準値」を引き下げ

 「人民元を切り下げ」との報道が目につきますが、正確には表題の通りです。

 中国人民銀行は本日(8月11日)、人民元売買の目安となる「基準値」を前日終値を参考にすると発表し(当たり前のことですが、より市場実勢を重視すると言いたいようです)、早速「基準値」を前日の1ドル=6.1162元から6.2298元に約2%引き下げました。

 市場での人民元の取引は、この「基準値」の上下2%の範囲内と決められおり、本日の終値は1ドル=6.3231元と2012年9月以来の元安となりました。本日の中国人民銀行の発表通りなら、明日も「基準値」が引き下げられることになります。

 ここのところFRBの利上げ予想からドル高で、基本的にドルにリンクさせている人民元も対円や対ユーロなどで上昇していたことと、先日発表された7月の輸出量が前年同月比で8.3%も(輸入も8.1%)減少していたことから、人民元を引き下げて輸出主導で景気を刺激したい意図があります。

 ところがこれを見て、朝方20946円まで上昇して本年高値(6月24日の20952円で15年ぶりの高値)に接近していた日経平均が急落し、後場寄り直後には20582円となり20720円(87円安)で終わりました。

 元安・円高で競争力を失う(と心配される)輸出企業や、中国人観光客が減る(と心配される)消費関連企業の株価下落が目立ちました。

 確かに人民元は対円で、朝方の1元=20.04円から午後10時現在で1元=19.56円まで「元安・円高」となりましたが、2014年末は1元=19.33円、2013年末は1元=17.36円、2013年末は1元=13.78円、2011年6月には1元=11.92円の「元安・円高」まであります。

 日経平均については「これくらいの円高(対ドルではむしろ円安)でここまで急落してしまった」事実の方が気になります。昨日(8月10日)配信の有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」では「3年ぶりに日本株の基本観を微修正」しているのですが、これもその理由になりそうな「不安心理の連鎖」となります。

 しかし本当に心配しなければならないことは、これではありません。

 中国は1994年から人民元を「とんでもなく割安な水準で」ドルに固定して(ほとんどの期間で1ドル=8.28元)貿易黒字と資本流入で外貨(ドル)を貯め込み、さらに2005年7月から人民元を2014年1月の1ドル=6.04元まで緩やかに上昇させてさらに外貨を貯め込み、その外貨をすべて中国人民銀行が一元的に買い入れて中国国内の信用創造の準備通貨として未曾有の経済成長を実現させました。

 つまり中国は、2005年7月までは「人民元はドルに対し減価しない」と保証して、さらにそこから2014年1月までは「人民元はドルに対して値上がりする」と保証していたことになります。

 わかりやすくいえば2005年7月までは中国は「ドルの信用力にタダ乗り」して、そこから2014年1月までは「ドルの信用力に値上がり保証をプラスして」、中国経済の信用基盤としていたわけです。

 実は2014年1月から人民元は対ドルで下落と上昇を繰り返しており、このままどんどん下落させるとも思えませんが、最大の懸念は「人民元はドルに対して値下がりするもの」と世界中に認識されてしまうことです。

 そうなると中国への投資が激減するだけでなく、外貨の引き上げが加速してしまうことになります。また中国は中国人民の直接的な対外投資を原則禁止していますが、その規制をすり抜けて国内資金まで海外に流出してしまうと、ここまでの経済成長を支えた基本的要件が崩れてしまうことになります。

 中国政府は、そうなるまえに人民元を国際化して、海外投資家や貿易業者らが人民元を「ドルのように」何の疑いもなく保有する体制を作り上げたかったはずです。AIIB構想も間違いなくそのためのものです。

 ここにきて人民元の国際化が十分に進んだとはとても言えない状況で、国内景気の減速と(FRBの利上げ予想による)ドル高で、人民元を引き下げざるを得なくなったと考えます。先日IMFが人民元の基準資産構成通貨への採用を見送ったことも関係しているかもしれません。

 これを「危うい綱渡り」と心配するよりも、円をここまで安くしても平気な日銀と、その円が対人民元で少くらい強くなったと(対ドルではさらに弱くなっていますが)心配して下落してしまう日本の株式市場の方が、よっぽど心配になります。

「上海36人圧死事件はなぜ起きたのか」 加藤隆則著(文藝春秋 1,620円税込)


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【内容情報】(出版社より)
中国取材の第一人者が習政権のタブーに迫る

昨年12月31日、上海で群衆の転倒事故が発生、36人が犠牲となった。政府当局には彼らの出身地を隠さねばならない理由があった。

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発売日: 2015年06月27日頃
著者/編集: 加藤隆則
出版社: 文藝春秋
サイズ: 単行本
ページ数: 255p
ISBNコード: 9784163902913

【内容情報】
2014年末、上海最大の観光名所・外灘で多数の若者が死亡する大惨事が起きた。政府は被害者の出身地を隠し、公安当局は遺族を監視下においた。それはなぜなのかー。習近平政権のタブーに迫る!

【目次】
序章 上海バンドー二〇一四年一二月三一日午後一一時三五分
第1章 なぜ若者たちは殺到したのか
第2章 伝わらなかったイベント中止決定
第3章 警察が警備を拒否した理由
第4章 追悼活動が語る命の軽重
第5章 全人代が無視したカウントダウン事件
第6章 試される大国のソフトパワー
第7章 ルールなき中国人の焦燥と憂鬱
第8章 国際化と西洋化批判の衝突
第9章 「上海人被害者は日系企業勤務」
第10章 習近平のカウントダウン

【著者情報】
加藤隆則(カトウタカノリ)
1962年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。86年~87年、北京で語学留学。88年、読売新聞社入社。東京本社社会部で司法、皇室の担当を経て、2005年7月~11年3月、上海支局長。同年6月~13年8月、中国総局長。同年9月から中国駐在編集委員を務めたのち15年6月退社

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2014年12月31日夜11時すぎーー。上海の恒例行事となっていた新年のカウントダウン映像ショーを観


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