東芝問題を予見していた「伊藤レポート」は投資のヒント満載

東芝問題を予見していた「伊藤レポート」は投資のヒント満載
NEWSポストセブン2015.09.28 07:00

http://www.news-postseven.com/archives/20150928_350880.html

 中国発の世界同時株安の影響で不透明な相場展開が続いている中、どのようなスタンスで株式投資に臨めばよいのか。「ひふみ投信」の運用責任者で、新刊『日本株は、バブルではない』を上梓したばかりのレオス・キャピタルワークス取締役・最高投資責任者の藤野英人氏が解説する。

『日本株は、バブルではない 投資家が知っておくべき「伊藤レポート」の衝撃 』藤野英人著(ダイヤモンド社 1,620円税込)


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【内容情報】(出版社より)
日本株を買っておくことが、なぜ安心なのか? この日経平均高はバブルではないのか? アベノミクスの本質とは何か? この1冊ですべてがわかる。外国人投資家も注目する「伊藤レポート」をベースに日本企業が迫られている変革と現状、今からの相場、日本経済と株価のゆくえをカリスマファンドマネジャーがやさしく解説!





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発売日: 2015年07月
著者/編集: 藤野英人
出版社: ダイヤモンド社
サイズ: 単行本
ページ数: 218p
ISBNコード: 9784478066355

【内容情報】
「日経平均が2万円を超えても買えますか?」そんな疑問が解決!4年連続、R&I優秀ファンド賞を受賞した「ひふみ投信」ファンドマネジャーが語る!外国人投資家も注目する『新・三本の矢』とは?狙いたい銘柄、おすすめ投資信託までこの1冊でわかる!

【目次】
1章 「新・三本の矢」で動き出した「2匹のタヌキ」
追い詰められる2匹のタヌキ
「異次元緩和」で株と為替は動いた ほか
2章 日本経済にのしかかる3つの問題と、異次元緩和で日本はどうなるのか
アベノミクスの本当の狙い
毎年の赤字の垂れ流しは止められるのか ほか
3章 「伊藤レポート」の衝撃ー日本企業が本気で変わり始めている
「伊藤レポート」はアベノミクスの成長戦略そのもの
経済と株価のパフォーマンスを決定づける重要な指標「ROE」 ほか
4章 「スチュワードシップ・コード」「コーポレートガバナンス・コード」で証券業界も投資信託も変わる
「インデックス運用偏重」と「短期主義」を排除せよ
投資信託の短期主義にもメスを入れ、今後は良い投資信託文化へ ほか
5章 今こそ、日本株を買いなさい
国債暴落はあるか。その時資産価値はどうなるか
日本の地価が3分の1になる? ほか

【著者情報】
藤野英人(フジノヒデト)
レオス・キャピタルワークスCIO(最高運用責任者)。1966年、富山県生まれ。90年早稲田大学法学部を卒業。野村投資顧問を経て、96年ジャーデン・フレミング投信・投資顧問(現JPモルガン・フレミング・アセット・マネジメント)に入社。中小型株のファンドの運用に携わり、500億円→2800億円にまで殖やすという抜群の運用成績を残しカリスマファンドマネジャーと謳われる。2003年8月レオス・キャピタルワークス創業に参加、CIO(最高運用責任者)に就任(現任)

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藤野 英人

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 * * *
 今後、大型株中心の指数に大きな上昇が望めず、膠着状態が続くようだと、銘柄選択にも工夫が必要となってくる。そこでいよいよ出番を迎えるのが、これまで出遅れていた小型材料株ではないか、と私は見ている。何しろディフェンシブ銘柄をはじめ大型株がこの半年から1年間、値を飛ばす一方で、小型材料株はパフォーマンスが冴えなかった。その分、物色の動きが高まれば、大きな反騰が期待できるだろう。

 もちろん、小型材料株と一口にいっても、本当に魅力的な銘柄を探し出すのは容易ではない。そこで、まず注目したいのは、これまで相対パフォーマンスのよくなかった銘柄。例えば、TOPIX(東証株価指数)の値動きを下回っている銘柄のなかから、今後も持続的な成長が期待できそうな「内需グロース株」に注目したい。

 たとえばeコマース(電子商取引)分野。ネット取引市場が今後拡大していくのは間違いなく、景気動向に左右されず利用者数は増加の一途をたどるだろう。あるいは堅調な消費を背景にアパレルなどもこれまで株価が停滞していた分、今後に期待が持てる。

 これから日本株を見ていくうえで最も参考になるのが「伊藤レポート」だ。これは経済産業省が音頭を取り、伊藤邦雄・一橋大学大学院商学研究科教授を座長として昨年8月に取りまとめられたレポートで、正式名称は『持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~』という。

 中身をごく簡単に説明しておくと、企業が成長していくためには持続的に資本効率を高めることが重要で、それには株主である投資家も馴れ合いではなく、適切な関係を構築し直す必要がある。そして持続的な成長が期待できる企業への投資をすべきという提言だ。

 これは奇しくも東芝の不適切会計問題(※注)を予見していたかのような内容といえる。そもそも投資に関して「安心」と「安全」は異なるもので、「有名な大企業だから安心」と思っていた東芝が「当期利益」という短期的な利益を追求する余り、“粉飾”としかいいようのない会計操作に走った。結果、株価も暴落し、「安心=安全」ではないことがはっきりとわかった。

【※注:東芝の不適切会計問題/2008年4月から2014年12月までの間、経営トップの関与のもと、組織ぐるみで総額1518億円の利益を水増ししていたことが発覚。歴代3社長が引責辞任した。】

「伊藤レポート」はまさに、「有名な企業だから」とか「当期利益が好調」といった理由で投資しても成功しないと論じているのである。

 そして、持続的に資本効率を高めている企業の収益性を図る指標として「ROE(株主資本利益率)」を判断基準として採用している。詳細な説明は省くが、「伊藤レポート」では企業が達成すべきROEの目標を「最低8%以上」としている。それも一時的にROEが高いだけではダメで、持続的に伸びているかどうかを重視している。

 加えていえば、ROEを高められるかどうかは経営者の資質にかかっている。自己保身に走り、短期的な利益ばかりを追求するのではなく、将来的にどのような会社にしていきたいのかという持続的な成長を志向する経営者でなければ、ROEはそうそう伸びていくものではない。そのような資質を見抜くのはなかなか難しいが、気になる企業の経営者に関するニュースに目配りしながら、ROEの水準と合わせて投資の判断材料にしていけばいいだろう。

※マネーポスト2015年秋号

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