野村證券の投資情報部長が超強気 1997年大相場の再来か

野村證券の投資情報部長が超強気 1997年大相場の再来か
NEWSポストセブン2016.11.08 16:00

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【「10倍株」が続出した1997年と現在の相似点は?】

「『野村證券投資情報部長は超強気』。そう書いていただいて構いません」──こう力強く語るのは、野村證券投資情報部のトップを務める竜沢俊彦部長だ。本誌・週刊ポスト記事(10月28日号)で、「年末に株価1万9000円、来年には2万円超えもある」と発言した株投資のプロは、依然として強気な姿勢を貫いている。

 日銀から聞かれるのは正反対の声だ。日銀の黒田東彦総裁は11月1日の金融政策決定会合後、「2018年4月の任期切れまでに物価2%アップを実現し、デフレ意識を払拭する」という政策目標が達成できなくなった責任を問われると、「石油動向は予測が難しく、新興国の減速も予測し難い。何をもって責任とするかは難しい問題だ」と、弱気な発言を繰り返した。

 だが野村證券は、黒田総裁と対照的に「攻め」の姿勢を“強化”している。同社は11月、通常の株式講演会に加え、「緊急株式セミナー」を随時開催し、顧客に株式投資を勧める予定だという。その自信の根拠は、「かつて見た風景」にあると竜沢氏は語る。

「現在の状況は、株が急騰を始めた1997年の状況に似ています。私も当時のことは強く印象に残っている」

 竜沢氏が指摘する1997年からの数年間は、市場関係者にとって“伝説の時代”だ。バブル崩壊後のデフレ不況に苦しむなか、一部の中小型株が大幅に急騰。株価が10倍になる企業株を指す、「10倍株」が続出した。

 株の世界ではこれらを、野球の塁打を意味するバガーにかけて、10倍なので「テンバガー」と呼ぶ。

「当時の代表的な中小型株は、東証2部に上場したばかりのファーストリテイリングの株です。野村の営業マンだった私は、ファーストリテイリングの株価が購入時の2~3倍になったところで顧客に利益確定売却を勧めました。ところが、その後も株価上昇は止まらず、最終的には何十倍もの株価になりました」(同前)

 同じ時期には他にも、ヤフー、ニトリ、ドン・キホーテなど、「10倍株」となる中小型株が続出し、「デフレの勝ち組」と呼ばれた。豊富な投資経験を持つ竜沢氏は、「足元の相場と1997年が似ている」としたうえで、こう断言する。

「この先、再び大相場が来る可能性が高い。今は大化け銘柄を発掘する絶好のタイミングです」

◆「IT革命」から「AI革命」へ

 1990年代後半と現在を結ぶカギはどこにあるのか。竜沢氏は「世界情勢」「米国の低金利」「テクノロジー」「キチン循環」という4つの視点から説明する。

【1】1997年は「LTCMショック」、現在は「ABCDショック」

 最初に指摘したのが、経済に大きな影響を与える「世界情勢」の類似だ。1997年にタイを震源とするアジア通貨危機が発生し、アジア諸国が深刻な金融危機に陥った。ロシアの通貨・ルーブル暴落も続き、「ロシア危機」も発生した。

 その影響を受けた米国の大手ヘッジファンドのLTCMが経営破綻し、「LTCMショック」が世界の金融市場に不安を与えたが、その“現代版”ともいえるのがいま世界経済の不安要素とされている「ABCDショック」だ。

 これは、Aがアメリカの大統領選挙、Bが英国のEU離脱、Cが中国経済失速、Dがドイツ銀行を中心とする欧州系金融機関の経営危機を指す。竜沢氏はこう指摘する。

「投資家に、『自分にも悪影響が来るぞ、来るぞ』という不安な心理が働いていた。実際の景気は良いのに、日米の金利を押し下げる要因になっている点で現在と似ています」

 この「低金利」が次なる相似点だ。

【2】1997年も今年も、米国の利上げが遅れて「低金利」

 世界情勢の影響は、米国の金融政策に及ぶ。当時といまでは「利上げ」を取り巻く状況も似ている。

「1997年は約2年ぶりに利上げを実施するなど、米国景気自体は良かったが、アジア通貨危機の影響でその後の利上げが遅れて、低金利状態が続いていました。いまの米国でも、昨年12月の利上げ以来、“するぞ、するぞ”と言われ続けた利上げは今年一度も行なわれておらず、歴史的な低金利が続いています」(同前)

 景気が手堅く低金利だと、市場の期待が高まって株が買われやすい。実際、20年前も好景気と低金利の共存で米国株は一時の停滞の後、上昇が続いた。

「基本的に経済の構造上、日本経済はアメリカに引っ張られます。いま、米国経済の状況が良い。それに倣って、今後は日本株が上昇すると考えています」(同前)

【3】1997年「IT革命」、2017年「AI革命」

 1995年の「ウィンドウズ95」発売以降、世界中にパソコンとインターネットが普及してIT(情報技術)革命が起こり、世にITバブルが到来した。当時のIT株は、「テンバガー」どころではなかったと、マーケットバンク代表の岡山憲史氏は話す。

「1997年に上場したヤフー株は初値200万円が2年後に6億円になり、ソフトバンクの株価も100倍以上になった。ITの黎明期に先見性のあった投資家は、大きな果実を手にした」

 現在はテクノロジーがさらに進化し、AI(人工知能)の研究が進む。将来的には自動運転車や介護ロボットなど、「AI革命」に関連する市場が急拡大すると予測される。

「AI革命は新しい産業を生むだけでなく、既存の産業を活性化するため、内需企業も潤います。人件費などのコストを抑え、生産性を上げて、小売業などの企業収益を向上させるメリットもある。いまの低金利の状況では、AIやビッグデータを利用する分野への投資がさらに進むと考えられます」(前出・竜沢氏)

【4】プロだけが見る「キチン循環」も同じ

 投資の世界には「在庫循環」と呼ばれる指標がある。これは企業の在庫の量の「増減」にはルーティンがあり、それによって景気が上向いたり、下向いたりすると定義している。その周期は「約40か月」。提唱者の名を取り、「キチン循環」とも呼ばれる。

「過去の経験から、在庫循環が復調局面に入ることが株式上昇のサインになっています。今回はいままさに在庫調整が終わって、株が上がる転換点を迎えようとしています。20年前も同じ状況でした」(同前)

 竜沢氏は、これらの要素が絡み合い、1997年とよく似た「風景」を作っていると指摘する。これには、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏も同調する。

「企業業績が堅調かつ低金利であることは1997年当時と似ています。現在は先進国を中心に金融緩和を行ない、ジャブジャブのお金が業績堅調な企業の株に流れやすくなっています」

 竜沢氏は「今は絶好の投資機会と考えています」と力を込める。

※週刊ポスト2016年11月18日号