トランプ氏の「米国ファースト」は結果的に日本ファースト

トランプ氏の「米国ファースト」は結果的に日本ファースト
NEWSポストセブン2016.12.21 07:00

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【トランポノミクスの影響は?(トランプ氏のFacebookより)】

 2016年の年の瀬、日米の株式市場は「トランプ相場」に沸いた。米国の株価は史上最高値を連続して更新し、年央に停滞した日経平均株価も年初来最高値を超え続けた。

 2017年1月20日の米国大統領就任式をきっかけに世界経済は新たな段階に入り、株価の上昇気流はさらに加速すると見られている。「米国ファースト」を掲げるトランプ新政権の政策がスタートするからだ。主な柱は、以下の通り。

◆10年間で6兆ドル(約700兆円)の大型減税(法人税率35%→15%など)
◆5500億ドル(約65兆円)の公共事業
◆大幅な規制緩和

 国際金融論が専門の埼玉学園大学経済経営学部教授・相沢幸悦氏が解説する。

「公共事業といえば日本ではバラマキのイメージがあるが、米国は実際問題として老朽化した橋が落ち、道路はあちこちで陥没するなどインフラがボロボロで経済活動の障害になっている。それらを再建するインフラ投資は経済効果が高い上に、法人税を大胆に引き下げれば世界から企業が米国に集まる。雇用は大幅に拡大し、米国の産業は劇的に蘇る可能性が高い」

 まさに世界の富を米国に集めようという「米国ファースト」の政策であり、政治的にも、米国議会はトランプ与党の共和党が上下両院で過半数を占め、新政権が発足すればいつでも推進できる状況が生まれている。

 米国の株価が最高値を更新するのは、世界の投資家が株を買っているからに他ならない。他の主要国は「米国に富が奪われる」と警戒しているが、例外がある。それが日本だ。

「日本経済は他の国と違ってトランプ政策で大きな恩恵を受ける。現在の日本株の急騰は明らかにトランプショックによる“棚ぼた”です。しかも、株価の上昇率はニューヨークより東京市場の方が大きい」

 そう指摘するのは外資系証券会社の調査部長などを歴任した玉川大学経営学部教授の島義夫氏である。“棚ぼた株高”の仕組みはわかりやすい。

「トランプの経済政策の公共事業と大減税はいずれも巨額の財政資金が必要で、米国債を大量発行しなければならない。国債を増発すれば米国の金利が上がる。金利が上がれば資金が米国に流れ込んでドル高・円安を促し、円安になれば日本の輸出企業が潤う。それがすでに予測されているから為替市場で急激な円安が進み、日本の株価が急騰した」

 棚ぼた効果は一過性のものではない。今後、トランポノミクスが本格化するにつれて日本へのメリットは一層大きくなっていく。世界経済の分析に定評がある投資ストラテジストの武者陵司氏が語る。

「トランプ政策の基本は“強い経済、強いドル”です。ドル高は米国と競合する商品を持っている国、とくに自動車対米輸出国や多くのドル債権を保有している国に恩恵をもたらす。どちらにもあてはまる日本が最大の受益国になるでしょう。

 日本が海外に持つ対外純資産は世界最大の2.8兆ドルに達し、為替が10%ドル高になるだけで円ベースで約25兆円の差益が生まれる。具体的には海外証券投資の元本増加や日本企業の海外子会社から本社への利益還元が大きく増える」

 加えて米国の法人税減税の恩恵も大きい。元シティバンク為替トレーダーの西原宏一氏が言う。

「間違いなく米国企業の収益を改善させる。日本企業の米国現地法人も減税分が利益になるから、日本本社は何もしなくても連結決算で業績が押し上げられる。いまや日本の有力企業の大半が米国に進出している。そうした企業は企業努力なしでドル高(円安)と減税のダブルで利益が増える」

「米国ファースト」を掲げるトランポノミクスの本質は、実は結果的に「日本ファースト」なのである。

※週刊ポスト2017年1月1・6日号


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