「日本」の解き方 …IMFはアベノミクス批判者か? 各国のリスクに言及も日本への政策提言は限定的

IMFはアベノミクス批判者か? 各国のリスクに言及も日本への政策提言は限定的
ZAKZAK2013.08.08
連載:「日本」の解き方


 国際通貨基金(IMF)は1日、主要国・地域の経済政策が世界経済に及ぼす効果を分析した「波及」報告書を発表した。

 主要国・地域とは、システミック・ファイブといわれる中国、ユーロ圏、日本、英国、米国である。ここで前提になっているのは、ユーロ、英国と日本で構造改革、日本と米国で中期財政計画、英国と米国で成長促進予算、中国以外で金融緩和、特にユーロ圏では銀行統合などの金融分断の回避措置、中国では消費経済への移行期間での銀行・財政・企業部門における諸改革である。

 その上で、各国が実施している政策について、世界経済への影響を分析している。日本で言えば、アベノミクスがそのまま英語(Abenomics)として5度も使われている。

 各国・地域の政策が実施されれば、世界経済への波及効果がある。アベノミクスでは、例えば金融緩和により円安になると、インフレ率などを考慮した実効為替相場で円が10%下落しても、影響が大きい貿易相手国である中国や韓国の成長率は年0・1~0・2ポイント下がるにすぎないが、日本では大きく需要が拡大し、結果として近隣諸国を含めた世界全体の経済成長に貢献する。

 もっとも、各国・地域ともに政策が失敗すれば逆の結果になる。こうした場合、良くない結果になる可能性を指摘するのが、リスク(risk)という言葉だ。

 これは、日本に限らずシステミック・ファイブすべてで述べられている。日本についていえば、インフレ目標が達成できず、財政健全化も構造改革もできない場合、日本の国内総生産(GDP)は10年間で4%縮小すると試算されている。そうした場合、もし投資家の信頼を失って長期金利が2%高くなれば、緊急の財政引き締めや株価下落が起きて世界経済の成長率を2ポイント押し下げるとしている。

 こうした分析は他の国でも行われている。もし政策が実施されないと、世界経済の成長率について、中国では1・5ポイント、ユーロ圏では1ポイント、米国では5ポイント、それぞれ引き下げるとされている。これらの数字はそれぞれの国が持つ世界経済とのつながりやそれぞれの国の経済規模によって決まってくる。

 IMF報告書では、そうしたリスク分析の後に、各国・地域への政策見直しを提言している。政策見直しの結果、大きく世界経済が成長するのは、中国とユーロ圏である。中国では生産市場改革、財政改革、金融セクター改革、ユーロ圏では金融分断の回避強化と各国の構造改革だ。中国やユーロ圏への政策提言によって、今後10年間の世界経済の成長率を、それぞれ1・5ポイント、1ポイント高めるという。

 日本に対する政策提言は、債務残高対GDP比を若干低下させることとなっているが、世界経済の成長率への影響についての数字はない。逆にいえば、アベノミクスでいいということだろう。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)





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